南信州特産のフルーツと卵を使ったお菓子のお店です。レストランパティシエ歴30年の菓子職人手作りの味。
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しばらく飴細工を作る機会がありませんでしたが、 2009年に長野県洋菓子コンクールが開催されたのをきっかけに作り始めました。
【飴細工を始めたのは】
かれこれ30年以上前ですが、 東京に修行に出ていた時に、三笠会館のベーカリー部に移動してから飴細工というものを知りました。 今ほど情報も無かったので聞いた話やカンで作っていたような気がします。
何でもやってみたい頃だったので、仕事が終わってから連日練習したことを思い出します。 飴細工で花瓶と花を作り、以前勤めていた店に飾ってもらったりもしました。 当時働いていた職場では、いろいろなことをやらせてくれたので感謝しています。
今はパラチニットを使って作ることが多いですが、当時はグラニュー糖しかありませんでした。 飴ランプもなかったので、普通の電球タイプの電気スタンドを近づけてやってました。 工夫次第で色々できるものですね。
【あれから30年】
その後、洋菓子店だけでなくレストランなどいくつかの職場を経験しましたが、飴細工を作る機会はありませんでした。
ノエル洋菓子店を開業して間もなく、2009年に長野県ではじめての洋菓子コンクールが行われることになりました。 その中に飴細工の部門(ピエスアーティスティック部門)がありました。 一般の菓子職人が参加できる日本最大の洋菓子展示会、ジャパンケーキショーと同じ規格での開催です。
この時、「また飴細工を作ってみたい」という気持ちが湧きあがりました。 しばらく飴細工から離れていたので、技術講習会に参加して、最新の飴細工技術を勉強しました。 まさにこの時は浦島太郎状態でした。 パラチニットを知ったのもこの時です。
それでも以前やったことがあったので、なんとなく作れそうな気になりました。
【コンクールに参加しよう!】
「また飴細工を作ってみたい」と思ったのは、ノエル洋菓子店の店頭に飾れたらいいなと思ったからですが、 飴細工講習会に参加している若いパティシエと接するうちに、自分もコンクールに参加しようと思うようになりました。 今まで機会も無く、初めてのコンクール参加です。 参加することを思い立ってからあまり時間もなかったので、ほとんどぶっつけ本番状態で制作しました。
飴ランプも無かったので、リサイクルショップで買ってきた、ホットドックなどを温めるランプを使いました。 でも、あまり保温力が無かったので捨て火のオーブンで保温したりしてました。
長野県の洋菓子コンクールということで、ギフチョウとリスを作ってみました。 あとは基本の流し飴・引き飴・吹き飴を使って土台と薔薇・リボン・玉などを作ってみました。
もしかしたら何か賞がもらえるかもしれないと思っていましたが、入賞なしでした。 思えば、今の若い職人たちは製菓学校のころから飴細工の授業があるんですね。 昔とはレベルが違うのを思い知りました。
作った作品は飯田市役所のロビーに飾っていただきました。 自分が思っていた以上に、多くの人が見に来てくれて、たくさんの感想をいただきました。 特にギフチョウ保存会の方が喜んでくれたのが印象的でした。 ちゃんとギフチョウってわかるんですね!
普段の生活の中ではあまり見ることのない飴細工だと思いますが、多くの方に見てもらえて嬉しく思いました。
翌2010年にも、長野県洋菓子コンクールに出展しました。
昨年は全体的に重たい感じだったので、今回は透明感のある明るい感じにしようと思いました。 奥の細工が透けて見えるのも面白いと思います。
この作品は、おかげさまで銅賞をいただきました。
【飴ランプが無い】
その後、講習会に参加しながら色々な作り方を見てきました。 飴ランプを買う予算も無かったので、ホットドックなどを温めるランプを使ったり、レンジで温めたりしながら作っていました。
ある講習会の案内が来た時に、近くの洋菓子店のオーナーからの連絡で、飴ランプ持参でと言う連絡がありました。 そのときに「飴ランプ持ってないんですけど」 というと、「今までどうやってたの?」と言われました。 しかたがないので、そのお店の若い子と一緒に2灯式の飴ランプを使わせてもらいました。
驚いたことに、その講習会の参加者は全員飴ランプを持ってきました。 みんな持ってるんですね。
良い機会だったので、飴ランプを見て回りました。 いろいろなタイプがあったので、熱量などを手をかざしてみて調べてみました。 結果、ハロゲンランプの投光機ならこの代わりにできると思いました。
いろいろな投光機を見て、一番使いやすいのを選びました。 難点はとても眩しいことです。 サングラスをかけてやったりしましたが、できることなら飴ランプを買う余裕が欲しいものです。
【ジャパンケーキショーにも参加しょう!】
その後、2011年と2012年のジャパンケーキショーにも参加しました。 さすがにレベルが違うのでどうしようかと思いました。
コンクールでの飴細工を評価する点は、カッコいいか。というところみたいです。 デザインや透明感、艶、シャープさなど技術の正確さと、洗練されていることが必要です。
大きなコンクールに入賞するには技術的にとても追いつけないところがあります。 小さな店のオーナーパティシエが参加するには、思うように時間を使うこともできません。 まずはお客様に喜んでもらうことを考えました。
そんな思いから、かわいい感じにつくってみました。
ジャパンケーキショー終了後に参加者を集めた講習会がありました。 その時にそれぞれの作品の評価を聞くことができました。 こんな感じの作品だったのでどんな評価なのか心配でしたが、思いのほか好印象でした。
お店にもしばらく飾っておきました。 かわいく作ったおかげでお客様、また子供たちにも喜んでいただけました。
【飴細工とは】 飴細工にもいろいろあります。 日本の縁日でお客さんの前で作る飴細工、アジアの国の中では流し飴で形を作るものもあります。 洋菓子の世界でも、飴細工は歴史が古く、ルネサンス時代から王侯貴族の食卓を飾る装飾菓子として珍重されてきました。 日本では、大使館などの晩餐会を彩るものとして作られていたようです。 現在は、結婚式やパーティーの飾りとして作られることが多いと思います。 小さなものは、デザートやケーキに添えたりすることもありますが、一般的にあまり目にする機会はないかもしれません。 最近では、洋菓子のコンクールでパティシエがその技を披露していますので、会場でさまざまな作品を見ることができます。
【飴細工の作り方】 飴細工には大きく分けて、流し飴・引き飴・吹き飴があります。 飴細工の飴の基本的な作り方は、砂糖に少し水を入れて、約170度まで煮詰めます。 作ろうとする形によって煮詰める温度を変えたり、水あめや、酒石酸やレモンジュースなどの酸を加えたりします。 流し飴は、煮詰めた飴を型に流して固め、透明感のある飴を作ります。 引き飴は、手で触れる程度まで冷まして、引っ張りながら空気を含ませてキラキラ輝くまで「引く・折りたたむ」を繰り返します。 手で触れるといっても、そのまま持っていると火傷する熱さです。 花や葉、リボンなどいろいろな形を作ります。 吹き飴は、引き飴にポンプで空気を吹き込んで膨らませて、玉やフルーツ、動物の形などにします。 これらの技法で作った飴を組み合わせて大きな作品を作ります。
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